おっさんの野望 #知力15

【大河の一滴】(五木寛之)

▼どんな本?

1998年、作者の五木さんが60代の頃に書かれた随筆です。
五木さんご自身の経験則や当時の世俗、宗教観等がふんだんにちりばめられていた
内容になっており、当時結構話題になった記憶があります。

▼読み所は?

本の書き出しが
私はこれまでに二度、自殺を考えたことがある
と、中々のインパクトでしたが、読み進めるうちに、どうも考え方が
自分に近しいところが何点かありました

例えば・・・
相手には何も期待してはいけない。
これは、相手を見放せと言ってる訳では無く、相手が自分の得になる
ような事をするのを期待するなと言っているのですね。
完全同意です。
よく周りの親切を当てにして立ち回り、それを取り上げられると
被害者ヅラする人がいますが、あの感覚はサッパリ理解出来ません。

他にも「病気(とくに癌)についての考え方
まず、作者の五木さんは大前提として「人は死ぬ定め」を掲げています。
そして、それを理解出来ないと、些細な事ですぐに医者にかかるようになる。とも。
例えば、それまでなんともなかったのに、何かの検査で病巣が見つかると、
とたんに体調が悪化、起き上がれなくなる、なんてのは良く聞く話です。
要は、自分の体を他人に預けるな、自分でコントロールしなさいよ、と言うことです。
面白かったのは、自分も作者と同じ考えで、なるべく医者にはかからないように
しているのですが、歯医者だけは渋々行っている、ということです(笑)

他にも細々と共感点がありましたが、大体は上記の2つに集約出来そうでした。
それ以外で・・・
それ以外で考えさせられたのは、両極端のどちらか、ではなく
どちらもとる」の考え方こそ必要なのではないか、と言うことです。
もちろんコレは物理的な「ラーメンと鰻丼どっちも!」ではなく、
「善と悪」や「戦争と平和」のような意味合いになります。

いやいや、悪よりは善、戦争よりは平和でしょ、は当然かもしれませんが、
悪や戦争でなければ生まれなかった物もあるのです。
(もちろん戦争を肯定するわけではありませんよ)

▼最後に

本のタイトルでもある「大河の一滴」ですが、本の冒頭では
人はちっぽけな存在、一滴の露だが、それが集まって大河となる」が繰り返されており
仏教や哲学(、あとマンガ)でよく見る「一は全、全は一」的なアレか?と
浅読みしたのですがどうも違うようでした。

つまり・・・
大河とは人生であり、海に出てその一生を終える。(その後はまた雨となって繰り返す)
そして己はその中の小さな一滴でしかない。河は澄んで無く、濁っているかもしれないが
それに漫然と流されること無く、かと言ってただ自我を通すだけでなく、状況に応じながら
その時その時を、例え失敗しようが自分の力で思い切り生きるのが大事。ということ。

もちろんこんなこと明確には書かれていませんし、作者から言わせれば
「いや全然違うしw」と笑われるかもしれませんが、自分はこのように受け取りました。

率直に、若い頃に読んでもあまり響かなかったと思うので
今の自分のこのタイミングで読めて本当に良かったと思える本でした。

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