【先生、それって「量子」の仕業ですか?】[著:大関 真之]

▼どんな本?
まずは著者の大関さんについて、簡単に説明します。
現在は大学の教授の模様。ご専門は量子力学や統計力学と言ったゴリゴリの理系の方。
某有名動画サイトでもご自身のチャンネルまで持っていらっしゃいました。
本の内容としては、タイトルの通り量子が関わっているとされる世の中の様々な
現象を「可能な限り解りやすく」説明した本となっています。
いわゆる入門書ですね。むしろ入門前の心構え本といった感じでしょうか。
どのくらい解りやすく書いているかと言えば、なんと(自分が記憶している限り)
数式が一切出てきませんし、スピンとか量子もつれなどの用語も出て来ません。
とは言え、この本を読むにあたり「そもそも量子って何よ?」
だけは最低限理解する必要があると思います。
このイメージがつかないと、この本を読む意味が薄れてきます。
正直自分はこの理解に相当苦しみました。
最初、量子は原子や陽子のような目に見えない世界の微粒子
(要は物質の名称)だと思い込んでいました。
だって「分子」「原子」「陽子」の並びで「量子」が入れば誰だって
そう思いますよね?・・・ね???
「量子」とは「これ以上小さくする事が出来ない限界単位」です。
・・・と言われてもピンときませんよね?私もそうでした。
でもここで、正しい説明(飛び飛びのエネルギー云々)をし出すと
何千文字書いても終わらないので、科学者の先生方がひっくり返るような
超大雑把ざっくりイメージで説明すると・・・
目に見えないミクロな界隈(分子、原子、光子レベル)を総称して「量子」。
そして、その世界の中で作用する力学のことを「量子力学」。
今はこの程度の理解でいいかと。
ちなみに、我々が普段目の当たりにするマクロな世界 例えば・・・
落ちるボール、走る車やロケット発射、惑星の軌道まで、あらゆる物の
物理現象は、いわゆる「ニュートン力学」と呼ばれます。
(量子力学に対して、今では古典力学とも呼ばれているみたいです)
▼読み所は?
初っ端からですが残念なお知らせ。今現時点でも
量子(および量子力学)については、まだ完全に解明できていない
ことを言っておきます。
従って、この本に記載された内容も「現時点ではこの説が濃厚」と言うだけで
今後5年10年先は全く違う内容に置き換わっていても、なんら不思議はありません。
(決して私がこの本で完全に理解出来なかった、という事ではありませんよ ・・・と言う予防線)
まぁそれはさておき、冒頭でも述べたとおり、この本は著者の大関さんが
極力身のまわりの言葉や例えを使い、あの手この手で量子の世界を説明
(と言うか紹介)しています。
特に興味があった内容としては「ガラスの向こう側が見える理由」がありました。
これ、よーーく考えれば不思議じゃないですか?
人体はガラスにぶつかるのに、ガラスの向こうにある物はちゃんと
見えるんですよ?
ガラスは光を通すから?
では何故ガラスは光を通すのでしょうか?
それに、ガラスは光を通すと言うのであれば、反射も一切しないってことですよね?
でも実際はガラスは光を反射させます。
光が反射すると、向こう側が見えなくなるはず・・・。
不思議ですよねぇ。
で、もっと不思議な話をすると、例を出したガラスも人体も究極は
原子や分子が組み合わさり出来ています。
ですが、この原子や分子ってのは、ビックリするくらいスッカスカな状態で
結びついています。そのスッカスカ同士のはずのガラスと人体が
何故すり抜けられないのか??
これも不思議ですよねぇ。
・・・と、言う感じの身のまわりの何故?とその説明が
この本では、なるべく難しい単語を使わないように書かれています。
そのほか、量子を語る上で避けて通れない、と言うか量子を知らない人でも
名前だけは聞いたことがあるハズの二大巨頭
「二重スリット実験」と「シュレーディンガーの猫」も
もちろん登場します。
これらの実験については、間違った理解をしている方も多いと
思うので、そもそも何を検証するための実験だったのか?を再確認し
正しく理解するだけでもこの本の価値はあると思います。
あとは量子コンピュータやド●えもんの道具なんかも出てきますよ。
▼最後に
ここまで書いてですが、この本を読むにはそれなりの覚悟がいります。
というか、この本に限らず始めて量子について学ぼうとすると、理解しようと
すればするほど、ほぼ全員混乱すると思います。(笑)
何故かというと、量子の世界は今まで実体験してきた感覚・直感がことごとく
裏切られる現象ばかりだからです。
なんと20世紀最高の天才の1人、量子力学にも多大な功績を残した
あのアルバート・アインシュタインですらその認識を誤ったとされています。(※注)※注:
あくまで、今現在の一般論になります。今後、実験・観測の技術が進化すれば再度覆される可能性も
ゼロではないはずです。ちなみに、自分もアインシュタインの考えの方が正しいような気がします(と言う負けフラグ)
そういう観点だと、もしかすると量子および量子力学については、今までの
固定概念が無い若者の方が、あっさりとブレイクスルーしてくれるような気がします。
ただしその時は、世の中の生活スタイルも間違いなく一変するでしょうね。
ちょっと怖いですが、やっぱり好奇心が勝りますね。
そんな世界、生きている内に見られるでしょうか。
最後に、何故この本を選んだかと言うと、過去に投稿した
おっさんの野望 #知力18-19「人はなぜエセ科学に騙されるのか」
からヒントを得ています。
そこでも書きましたが、昨今、様々な事象が「当事者の都合の良いように」
量子に絡めて説明される事が増えてきたように感じたので、騙されないように
今のうちに最低限の知識をインストールする必要があると判断したわけです。
結果、読んで良かった、今読んで正解だったと思います。
当然、この本は完全な入門書なので、量子知識の門前に立った程度だと
思いますが、この本を切っ掛けに多方の情報源から色々な説を知ることが
出来ました。
私ごときが全て理解出来るハズは無いのですが、それでも
・大体ここまでは解明されているな(既に利用もされている)
・ここら辺の解釈はブレているな(解明されてなさそう)
は何となく分別出来るようになってきました。
正直これだけでも、知らない人と比べればかなり解像度が変わってくるので
結構なアドバンテージだと思います。
と言うことで、この本は量子(および量子力学)の世界を初めてチラ見
するため(好奇心をくすぐるための)の最適な一冊だと思います。
これを読んで、どんどん「なぜ?」を深掘りしていくことをお勧めします。
未知を開拓するのは楽しいですよ。


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